tips50 顔料A3プリンタの実力
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退色防止の救世主、究極の顔料インクジェットプリンタ(A4)については、既に「tips34」でお伝えしたところであるが、先ごろE社から、A3対応の顔料インクジェットプリンタが発売された。(といっても発売が昨年11月中旬であるから既に4ヶ月以上を経過しているが・・・)
現行、プロユースのベストセラー機「PM-4000PX(顔料7色インク)」とは一線を隔し、ニーズの高い顔料インクでA3光沢紙に対応したハイアマ用と称される「PX-G5000」。
満を持しての発売だけに、その実力が大いに気になるところ・・・。
<発売されてみたものの>
PM-4000PXの後継機と噂されたPX-G5000(実際はそうではない)。
A4プリンタのグレードアップとしては少々お高い買い物となるだけに、「ここはじっくりと品定めをしないと」と静観を決めてはや3ヶ月、ようやく重い腰をあげることに相成った。
現在、使用しているA4プリンタのPX-G900に後継機(PX-G920)が登場したことで、今後、プリンタドライバのグレードアップが見込めないことや、PX-G900の顔料インクがそのまま使えることなども、かなり背中を押されることに・・・。
<実はなかなかの曲者・・・>
インク構成は、CMYブラックの基本4色、マットブラック、特色のレッドとブルー、光沢感を与える透明のグロスオプティマイザの全8色で、前述のPX-G900と全く同じ顔料インク。
ところがこのプリンタ、実はなかなかの曲者(あえて玄人向き)で、ノーマル(EPSONの標準設定)のままではなかなか思いどおり仕上がってくれない。
これは決して酷評ではなく、あえてこういう表現をしたのは「投資するからにはさらにグレードの高い品質を要求したい」と望むユーザーにとってもはや「普通の出来上がりでは満足できない」という本音からである。
「以前のプリンタでは、インターネットの写真をただ印刷クリックしただけでそこそこ綺麗なのが出てきていました。同じことをG5000でやったら、「何これ?」みたいなのが出てきてビックリ。設定などをきちんとやればずっといい画質になるのでしょうが・・・」とある掲示板での一コマである。
確かに、インクジェットプリンタが持つ最大の色再現領域まで広げて画像処理することで、赤やマゼンタ、黄色の表現力が大きく向上し、鮮やかで階調表現の豊かな写真プリントを実現する「EPSON NATURAL PHOTO COLOR3」や、人がは「好ましい発色」に自動補正するオートフォトファイン6などの優れた機能が搭載されてはいるものの、(あえてプリンタ任せではなくと断ったうえで)高価なプリンタゆえに求める画質と期待(ハードル)は決して低くないのである。
<じゃじゃ馬を乗りこなす前に・・・>
PX-G5000を検討するようなユーザー層は、色に対して自分なりのポリシーを持っており、Phohoshopなどでカラーマネジメント環境を整えている人も多いと推測される。
しかし、私も含めそうでない人も沢山いるわけであり、ここは“じゃじゃ馬”を乗りこなすための基礎知識として、PX-G5000のカラーマッチング出力について少し触れておきたい。
【「sRGB」色空間より広い色域を再現出来る「Adobe RGB」】
今回初めて、プリンタドライバに新しく搭載されたマニュアル色補正の「Adobe RGB」モードで、文字通り「デジタル一眼レフ」に搭載されている「Adobe RGB」モードで撮影した画像を対象としている。(当たり前といえば当たり前であるが・・・)
最近のインクジェットプリンタの中にはPX-G5000のように、「sRGB」色空間より広い色域を再現出来る機種が多くなってきており、広い「Adobe RGB」の色領域をフルに引き出した美しいプリントが可能となっている。
ところが残念なことに、一般のモニタ画面では「Adobe RGB」の広い色空間すべての色を再現することはできないのである。(数十万円と高価な「Adobe RGB」のカラースペースが表示可能なモニターを所有しているのなら話は別だが・・・)
言い換えれば、一般のモニタ画面では「sRGB」同等のカラースペースを表示するように作られているため、「Adobe RGB」画像は強制的に「sRGB」に変換されて表示されるのである。
一般的には、「Adobe RGB」画像をプリントした場合、「sRGB」より広いカラースペースを持ったインクジェットプリンタの印刷仕上がりは、彩度の高い緑の部分等がモニタ画面表示より鮮やかに見える場合があるといわれているが、(これまでのところテストサンプルが少ないため)正直なところ「これだ!」という違いを見出せないのが現実だ。
しかしながら「Adobe RGB」は、「sRGB」色空間より広い色域を再現出来ることは事実であり、PX-G5000のように「sRGB」色空間より広い色域を再現出来る能力が備わっているのなら利用しない手はない。
正確なカラースペースが出来ないというハンデを割り引いたとしても余りある「Adobe RGB」の付加価値には(本格的に作品作りをしようとする人たちにとっては)、それほど大きな魅力があるのである。
この点については、印刷用紙の実力評価と併せて今後の研究課題としたい。
なお、Adobe RGBを利用する場合には、「Photoshop CS」や「Photoshop Elements」などがAdobe社製ソフトウェア必要となるので念のため申し添えておきたい。
【ICCプロファイルを用いたカラーマッチング】
これには、ICM(Windowsに組み込まれたカラーマッチングのための機能で、ディスプレイやプリンタなどのデバイスごとに用意されたICC:International color Consortiumプロファイルというものを利用して、機器間の発色の違いを調節してくれるもの)を使ってプリンタドライバ側でマッチングする方法と、アプリケーションの側で用紙種類に応じたICCプロファイルを適用する方法がある。
なお、PX-G5000をセットアップすると、純正の写真用紙やフォトマット紙、スーパーファイン紙、画材用紙/顔料に対応したICCプロファイルも同時にインストールされるので念のため。
<私のじゃじゃ馬調教法>
一般のモニタ画面で、「Adobe RGB」のカラースペースが表示出来ないことに躊躇して、いまだに「sRGB」から離れられないでいる一人であるが・・・。
実際のところ、前述のICCプロファイルを用いたカラーマッチングもいろいろ試してはみたが、結果として大量の写真用紙とインクを消費するだけの散々たる結果に終始し、後に残ったのは不満以外の何物でもない。
確かに、市販の(かなり高額な)高精度なカラーマネジメントシステムを用いて環境を構築することもかなり有効な選択肢ではあろうが、(かなり)高額であることや難解な用やの壁が立ちはだかり、いまだ越えられないでいる。
そこで、これまで数々の苦い経験から、純正PM写真用紙(A4・光沢紙)を使い「Adobe Photoshopを用いたプリンタドライバ側でマッチングする方法」をご紹介したい。
この調教方法は決してベストなものでもなく、あくまでも暫定的な方法だとお断りしたうえで、ご一読いただければ幸いである。
【Adobe Photoshopでの設定】
1.Adobe Photoshopの「ファイル」から、印刷しようとするファイルを開く。
2.「ファイル」→「プリントプレビュー」を開く。
3.その他のオプションを表示にチェックを入れ、カラーマネジメントを選択する。(ソースカラースペースはファイルを選択)
4.プリントカラースペースのプロファイルは、プリンタ側でカラーマネジメントを選択する。

【PX-G5000プリンタドライバの設定】
1.プリンタドライバの「基本設定」→「モード設定」の項目で「詳細設定」を選択し、設定変更をクリックする。
2.「用紙」は、EPSON写真用紙(光沢)
3.「印字品質」はスーパーフォトモード(スーパーにチェック)
4.「双方向印刷」のチェックは外す。
5.「カラー調整」で「ICM」にチェックを入れると、プリンタプロファイル欄が「EPSON標準」と表示され、PX-G5000 PhotoPaper(G) がセットされる。
※これは、2.の用紙設定で、使いたい用紙を選ぶことで、ICMにチェックを入れた段階で、使いたい用紙に合わせたプロファイルが自動的にセットされるのである。
例示の場合は、EPSON写真用紙(光沢)を選択したため、プロファイルはPX-G5000 PhotoPaper(G)が自動的にセットされたことを、プリンタプロファイル情報欄から確認することが出来る。
6.印刷を開始する。

<最後に>
満を持して導入した「究極の顔料A3プリンタ」PX-G5000。
現在までのところ、(試行錯誤の末)印刷結果にはとりあえず満足しているものの、高画質プリントを求めて悪戦苦闘の日々は続く。
折りしも4月15日には、E社から待望の「高い光沢感と色再現性で、高品位な作品づくりを実現した最上位フォトペーパー“写真用紙クリスピア〈高光沢〉”」が発売される。
従来のPM写真用紙への不満が一挙に解決されることを願いつつ、次回のtips51では、新発売の写真用紙クリスピア〈高光沢〉や社外品で評判の高い写真用紙とともに、その実力を検証してみたい。
思えば銀縁カメラ全盛時代、デジタルカメラで家庭用プリンタを用いて、ここまで高画質のプリントが実現することを誰が予測したであろう。
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