tips63 花を撮る!(可憐な花があなたを待っている)
   

 道端に咲く名もない花も、レンズを通してみると、何と可憐で素敵な花だったんだと驚くことも。
 俗に、花の写真家は花の生態にも詳しいといわれる。見どころとなる時期や場所など、写真を撮る前から作品が出来上がっているのであろう。
 今回は、そんな花のうんちくは別に譲るとして、道端に咲く可憐な花を“如何にして主役に抜擢するか”を探ってみたい。

 
題して「可憐な花があなたを待っている」


<主役探し>
 花の写真といえば、花畑などの一面に広がる風景を連想しがちだが、先ずは車は駐車場に止めて、のんびり散歩を兼ねて野道を歩いてみよう。
 普段気付くことのなかった小さな草花がそこかしこに咲いている。
 一見、「主役にはとても…」と思うかもしれないが、先ずはレンズを向けてみるのである。

 
スターを誕生させるか否かはあなたの双肩に委ねられている ...へ(__へ)☆\(^^;)


<主役が決まれば…>
 小さな花をラクして撮ろうとすると、どうしても上から見下ろしがち。目線を低くして花を横から見たり、空が背景になるように花を見上げるなど角度によって、花の表情もずいぶん変わってくる。
 狙った被写体の魅力を明快に伝えるためには、余計な写り込みを回避する必要がある。
 そのためには、できるだけ被写体に接近して撮るよう心がけ、間違ってもズームレンズで調整することなく、角度を変えたり前後に動いてみることである。
 こうすることで、被写体の臨場感や印象も強くなるのである。


<主役と脇役>
 絵画などでは、限られたキャンバスの範囲内で、主役が引き立つように画面構成や配置を考えて描いていく。
 早い話が、絵画では作者の必要とするものだけがキャンバスに書き加えられ、主役の表現を妨げる不必要なものは描かない。
 ところが写真の場合はそう簡単にはいかない。
 なぜなら、カメラを向けて写したのもは全て写ってしまうからである。
 そこで、撮影者であるあなたが、的確な意思を持って、画面(ファインダー:のぞき窓又は液晶画面)から不必要な物を排除していく作業が必要となり、表現したい主役を強調するためには、主役と脇役を上手く配置する必要があるのである。
 余談であるが、「絵は足し算の芸術」、「写真は引き算の芸術」といわれるのも、いかにフレーミング(画面構成、構図)が重要な意味を持っているかということを意味しているのである。


<空間を利用して>
 多くの場合、無意識のうちに花を画面の中央近くに配置してしまい、往々にして単調で面白みのない写真しか生まれない。
 なんな時には、花を画面の中央から外してみる。こうすることで単調な写真に動きが出てくるのである。
 といっても実際に写真が動く訳ではないが、空間を設けることで見る人の既成概念を変える(写真を見る視線や感覚に動きが生じる)ことも重要なポイントとなる。


<背景を選んで>
 どんなに色鮮やかで美しい花でも、背景の状況によっては、その美しさが写真から伝わってこない場合もある。
 例えば、鮮やかな赤い花を撮影する場合、その花の周囲に別の赤い花があると、そちらに目が行ってしまい印象が弱くなってしまう。つまり、脇役はあくまで脇役であり、主役より目立ってはいけないのである。
 もちろん、複数の花を配列良く組み合わせて撮影しようとする場合は別であるが、特定の花に狙いを絞るなら、背景には同系色の花は避けたいところである。


<前ボケと後ろボケ>
 花を撮る場合、背景をどう処理するかが究極の課題となるといっても過言ではない。
 背景がゴチャゴチャしていて、入れたくないものまで写っていては、せっかくの主役もかすんでしまう。
 小さな花を引き立たせるテクニックとして、よく用いられるのが「前ボケ」と「後ろボケ」である。

 一般的に望遠で撮影すると、画面を単純化したり背景を整理することが可能となる。これがいわゆる「後ろボケ」である。
 レンズ交換式のデジカメなら迷わず望遠レンズを、普及版のデジカメでも3倍程度のズームレンズ付きが主体となってきているので、ぜひとも望遠側で撮影してみていただきたい。
 望遠側での撮影は、背景の写り込む範囲が狭いため画面を単純化でき、背景をボカすことができるため、結果として主役を強調することができるので、人物写真(ポートレート)では必須のテクニックとなっている。

 それに対し「前ボケ」は、ピントを合わせた花の前に花びらや葉っぱを配置(早い話が1枚の花びらをレンズにかざすのである)する。当然の事ながら(ピントを合わせた花の前に配置した)花びらや葉っぱにはピントが合わないので「ボケ」ることになる。これが「前ボケ」である。
 このテクニックは、「後ろボケ」と違って多用したり使い方を誤ると、主役を見殺しにしてしまうことも多いので少々注意が必要である。
 例えば、花びらの柔らかい色で額縁効果(いわゆるイメージ的な写真に仕上げること)で、主役を引き立たせたるような使い方もよく見られるテクニックである。

 要は、前ボケとなる花びらや葉っぱの「前ボケ」がうるさく(目障り)なるような扱い方は、避けたいものである。

<前ボケ(例)>


<日陰を選んでやわらかい表現を>
 晴天の直射光線下では、花の形や色がハッキリと描写される反面、目障りな影が発生したり、色彩がどぎつくなりすぎることもある。
 そういう時には日向を避けて、日陰にある花を狙うのもひとつの方法。
 直射光線ではないため、目障りな影も発生せず、派手な形や色の花でも、やわらかい調子の写真に仕上げることが出来るのである。


<花撮影の大敵「手ブレ(カメラぶれ)と被写体ブレ」>
 花の撮影のみならず、デジカメ撮影に障壁として立ちはだかる手ブレ(カメラぶれ)。
 主役が小さな被写体であるだけに、微妙なアングル(角度)での撮影や近接撮影での手ブレ(カメラぶれ)の備えは万全でありたいものである。
 それとともに、自然界に存在する大敵の存在も理解しておいていただきたい。
 それは「風」である。
 風景撮影などにおいて、風は自然描写の手法(静止した風景に動感を与える)になくてはならないアイテム?であるが、花などの撮影においては大敵となる。
 肝心の主役(被写体)自身が風でブレてしまい撮影どころではない。あわよくば撮影できたとしても「被写体ブレ」は否めない。

 そこでお助けツールとなるのが、毎度おなじみの三脚である。
 一見、面倒くさく感じるかもしれないが、後述の被写体ブレ回避のためにも、コンパクトといえども三脚、便利なツールなのである。

 風がやむまで「じ〜っと」構えて待って、手ブレに注意しながら撮影できる自信のある方には不要かもしれないが ...へ(__へ)☆\(^^;)


<おわりに>
 たとえ道ばたの小さな花であっても「磨けば光るダイアモンド」かもしれない。
 大風景ばかりに目がいきがちではあるが、時には小さな主役を求めて「フォトハイキング」と洒落込んではいかがか。
 主役を生かすも殺すもあなた次第

 「道ばたの可憐な花」が、あなたの登場を待ち焦がれているとしたら…。