tips90 初めてのデジタル化(ここまで来たフラットヘッドスキャナ!)

    

 いままさにデジタル全盛時代。(筆者も含め)多くの「フィルム世代」も、期待と不安をよそに過去の資産を引き継ぎつつ「デジタル世代」への階段を、一歩一歩と登りつつあるのではなかろうか。
 こうした諸兄への応援歌として、長年撮り貯めたフィルムのデジタル化をテーマに、tipsを展開してみたい。
 なお、これまでフィルムのデジタル化については、tips45「フィルムスキャナーの実力!」と題して、簡単なレビューをお届けしたが、今回は台頭する「フラットヘッドスキャナ」と、迎え撃つ「フィルムスキャナー」について、使用体験を交えながら改めて掘り下げていく。

 題して「ここまで来たフラットヘッドスキャナ!」
 さて、いかが相成るや・・・(汗)


<はじめに>
 (私事ながら)知人の自動車会社のオーナーから「ショールームをオープンする。ついては、その一角に憩いの空間として“ミニギャラリー”を作ろうと思うので、写真を提供してほしい」との申し出があった。熱烈なファンからとはいえ「季節に応じた作品を」となると、デジタル資産ではこころもとない。そこで、約2000本のポジフィルム作品の中から(ショールームオープン:4月20日に合わせて)桜の写真をセレクトすることになった。

 ポジフィルムからのデジタル化は、従来よりフィルムスキャナ(コニカミノルタElite5400)を使用してきたが、2006年3月末のカメラ事業の終了により WindowsVistaを含めた新OSへの道は絶たれた。(唯一、修理サービスのみSONYに引き継がれている)おまけに、稼動可能OSのWindowsXP(Pro)のサポートもメインストリームサポートが2009年、Updateによるセキュリティ更新の提供が2011年までと期限を切られるなかで、昨夏(あえて)WindowsXP(Pro)の最終・最強マシンを導入した。
 しかし、不幸とは重なるもので・・・。
 実はこのフィルムスキャナ、新しいパソコンとの相性が芳しくないのか「プレビューするものの、まともな画像が現れない」トラブルに見舞われたのである。ショールームオープンまであと5日。(ドライバのアップデートすらなされない中で)原因究明に時間を費やすのは得策ではないと判断。ワンポイントリリーフとして、フラットヘッドスキャナのフラッグシップモデルの導入に踏み切った。


<フラッグシップモデルGT-X970>
 GT-X970は、6400dpiの高解像度をあますことなく発揮するために、本体組立工程において、専用調整機で1台1台微調整を行い出荷。35ミリとブローニーに加え、4×5(しのご)、8×10(えいとばいてん)フィルムまでスキャンできる、現在、唯一のA4フラットベッドスキャナである。
 また、旧モデルに比べ「CCD表面を覆っている0.7ミリのカバーガラスに新しくARコートを採用したことで、カバーガラスが光を多重反射してゴーストが起こる現象を抑えることで画質向上を図っている」ほか、「従来の反射ミラーに代えて、高反射ミラーを採用。CCD面上の光量を緑波長域、赤波長域、赤外光域(画像のキズなどを自動修復するDIGITAL ICEで使用)で18%〜20%増加」させるなど旧モデルに比べ、フィルムスキャンで10%以上のスピードアップを実現している。
 レビュー記事を見ても「ポジフィルムの読み取りは、色調が原稿に忠実で非常にクオリティが高い。細部のディテールもしっかり再現されており、プロ向けの画作りといえよう。また、ネガフィルムの読み取りでは、全体に以前よりもヌケがよくなった印象を受けた。特にスキャンサンプルでは肌色はスッキリとした色に仕上がっている」などの評価の高さと(高解像度のフィルムスキャナーに比べ)コストパフォーマンスも見逃せない。

【注目したポイント】
◆光を正確に導く4群6枚構成高性能レンズ(最大光学解像度6400dpiを実現)
 高感度α-Hyper CCD II を十分に活かし、光の情報を正確に導くために、4群6枚構成高性能レンズを搭載。フィルムホルダ使用(35mm、ブローニ、4×5フィルムの読み取り)時には、大口径レンズ「EX Resolution Lens6400」を使用することで、最大光学解像度6400dpiを実現している。また、反射原稿やフィルムエリアガイド利用時には、光学解像度4800dpiの「STANDARD Resolution Lens4800」を使用することで、高画質化と多彩な原稿への対応を両立させるための「Dual Lens System」を採用している。

◆ゴーストの発生を抑えて、よりクリアに。(Anti Reflection コート CCD)
 CCDのカバーガラスに特殊コーティングを使用することで、ガラス表裏面で光を多重に反射して発生させるゴースト(二次反射光を情報として蓄積することによる本来存在していない画像の発生)を防ぎ、よりクリアな画像を実現している。

◆色再現力をどこまでも追及した、α-Hyper CCDU
 
RGBそれぞれ分光感度分布の重なりを減少させ、高精度な色分解を実現する、α-Hyper CCDU 。6ラインのCCDを緻密に並べることで、受光素子の感度を高め、ノイズを抑えます。しかも、受光素子のひとつひとつにオンチップマイクロレンズを搭載。集光力も大幅に高めているほか、α-Hyper CCD II の同一基板上にADコンバータを配置し、直ちにデジタル信号へ変換させることで、ノイズを抑えた高画質入力を実現している。

◆読み取り効率と速度パフォーマンス向上(高反射ミラー)
 
光の反射率を高めて、読み取り効率をアップ。速度パフォーマンスを 従来機から約10%高めている。
 (ポジフィルム読み取り時)
 光学的な改良はスキャナの基本的な性能のアップにつながるだけに(デザインやソフトの改良よりも)重要なポイントであり、その効果も大きい。

◆高性能CCDを活かす光源移動型フィルムスキャンユニット(高画質の高速スキャンを実現)
 
光源移動型フィルムスキャンユニットにより、光源のバックライトモジュールがCCDとリンクして移動し、CCDに理想的な光量を供給することで、ムラのない均一な光をCCDに大量放射できるため、高速での高画質のスキャンを実現している。

◆スキャナドライバ「EPSON Scan」(画面を見ながら詳細な補正が可能)
 スキャナドライバEPSON ScanV3.は、新たにICCプロファイルの読み込みに対応している。JPEG、TIFFでファイルを保存する際に、設定したスキャンモードやディスプレイガンマに応じて、ICCプロファイルが埋込めるようになっているため、一貫したカラーマネジメントが容易になっている。
 また、プレビュー画面で確認しながら、簡単な操作でヒストグラム調整、濃度補正、イメージ調整など、画面を見ながら、レタッチソフトさながらに詳細な補正が出来るのも魅力。特にヒストグラム調整は、PhotoShopのレベル補正と同等の機能で、まったく同じ感覚で使えるのはありがたい。
 一般のレタッチソフトでは調整のたびに画像が劣化していくので、出来ればドライバの調整機能を活用してベストな状態で読み込みを行うのがベターである。
【主な調整機能】
 ・ヒストグラム調整
 ・ハイライトとシャドウの調整
 ・ガンマ(中間調)の調整
 ・濃度補正
 ・カラーパレット調整 など

◆美しさをさらに引き出す「DIGITAL ICE」(フィルムに付着したゴミ・キズも高精度に自動除去)
 フィルムスキャナーでは定番の、フィルムに付着したゴミ・キズなどを自動除去する機能である。
 GT-X970に搭載されている「DIGITAL ICE」は、高精細のスキャニングになるほど気になるフィルムに付着した細かなゴミやキズなどを自動検出。スキャンする際に自動的に補完・修正するだけでなく、紙焼き写真のキズや折れ目、裂け目も修復。特にフィルムについては、スピードを優先する「DIGITAL ICE Lite」も搭載されている。
 なお、DIGITAL ICEは非常に精度が高く、原寸よりも拡大して取り込むフィルムスキャンには必要な機能。とりわけストックしていたフィルムには不可欠な反面、読み取り時間が遅くなるのは否めない。
 例えば、35mmネガ1コマを6400dpiで読み込むのに約2分かかるのに対し、DIGITAL ICEをONにした場合は約12分と約6倍の時間がかかることになる。
 非常に悩ましいところではあるが、「すり傷」やどうしても除去できない汚れ」なら(もちろん)「DIGITAL ICE」はON。ホコリの場合なら、ブロアーを使ってこまめに除去することは可能。(あとは使用者の判断に委ねることとするが・・・)
 長年撮り貯めたフィルムは大切な財産。大切なフィルムに指紋や傷がついてしまわないよう、フィルムを扱う際は手袋を使用するなどして、細心の注意を払うようにしたいものである。

◆USB 2.0&IEEE1394のデュアルインターフェイス搭載(35mmポジフィルム等倍/6400dpi/1コマ1分43秒)
  反射原稿/L判
フルカラー300dpi
35mmポジフィルム
等倍/6400dpi/1コマ
35mmネガフィルム
等倍/6400dpi/1コマ
USB 2.0/
IEEE1394
6秒 1分43秒 1分21秒
 ※メーカー公表値

◆35mmストリップ、マウントをはじめ、大判8×10フィルムまで多彩なフィルムに対応
 
4種類あるフィルムホルダを使い分けることで、35mmストリップ、35mmマウント、ブローニ(最大各6×20cm判)、4×5フィルムなどに対応し、ネガ・ポジでストリップフィルム4本を同時にセットし24コマの連続スキャンが可能。また、スキャン領域が拡大し、大判の8×10フィルム(フィルムエリアガイドを使用)まで多彩なフィルムに対応している。

◆カラーマネージメントツール「EZ color」、パーソナルレタッチソフト「PhotoShop Elements5.0」同梱
 
スキャナ、プリンタ、モニタに合わせて、より高度なICCプロファイルを簡単に作成可能となり、プリンタとのマッチング精度を高めることにより創作的な作品づくりができる。
 ちなみに、tips86 初めてのRAW現像(カラーマネジメントへの道)などにおいても、プリンタプロファイルの有用性を説いてきた。しかし、モニタキャリブレーションにくらべプリンタキャリブレーションツールは少々お高いのがネックとなっている。
 しかし、GT-X970にはカラーマネジメントツール(EZ Colo)が、なんと“おまけ”で添付されているである。「一粒で2度おいしい」ではないが、スキャナの購入でプリンタとのマッチング精度が高められるとなれば、お買い得感はますます高まろうというものである。
 また、パーソナルなレタッチソフトの代表格である「PhotoShop Elements」は、最新バージョンの6.0ではない(5.0が同梱されている)が、機能に不足は無く、とりあえず使ってみようという向きには十分である。


<ソフトウェアのインストール>
 結論から申し上げれば、ドライバのインストール、スキャナをパソコンに(USB)接続、(スキャナ本体の電源ボタンを押して)接続確認をするだけの、簡単なセットアップ。
 作業手順は、操作ガイドに従い、EPSON Scanをインストールするわけであるが、その前に、スキャナとパソコンがUSBケーブルなどで接続されていないことを確認しておくこと。
・GT-X970のソフトウェアCD-ROMをパソコンにセットする
・右のような画面が表示されたら「おすすめインストール」をクリックし、画面の指示に従い作業を進めるだけの簡単インストール
・スキャナ本体の電源ボタンを入れる
・パソコンとスキャナをUSBケーブルなどで接続する
・このあと、(プラグ&プレイ機能で)Windowsが自動的にGT-X970の接続を確認して作業は終了する

 なお、GT-X970には、前述のカラーマネジメントツール「EZ color」のほか、PhotoShop Elements5.0が同梱されているので、必要に応じてインストールしていただくことになる。


<スキャン!その前に・・・>
 今回、フィルムスキャナーのワンポイントリリーフとして急遽登板させることになったGT-X970。
 最終目的がポジフィルムのデジタル化にあることから、フィルムスキャンに限定してのリポートとさせていただく。
 スキャンは、PhotoShopCS3からの「TWINドライバ」でスキャナを起動し、16ビットTIFFファイルにて保存する。また、保存したTIFFファイルは、Lightroomでライブラリとして読み込み、調整の後に(同ソフトにて)A3写真用紙に印刷する」という工程。(スキャナの設定は以下のとおり)
◆入力用原稿は、35mmポジ(スリーブ)フィルム

◆解像度は4800dpi

 一般的には、「スキャン解像度が200dpi 以上であれば良好なプリントが、およそ300dpi 以上であれば高画質のプリントが得られる」とされる。例えば、35mmフィルムをスキャンして印刷する場合、光学解像度が3200dpiであれば、A3ノビサイズまで鑑賞に堪える印刷が可能というもの。但し、出力解像度を最高値のままにしてスキャンすると、データ容量が必要以上に大きくなり(パソコンの能力によっては)編集作業に支障をきたす場合も多い。そのため、メーカー推奨値は概ね300〜 360dpiに設定されている。
 そこで、過去のフィルムスキャナーでのスキャンニングデータ(1ファイルあたりおよそ50MB強)を基に、テストスキャン&印刷を行い(フィルムスキャナー原稿からの)印刷物との比較などを行い、読み込み解像度は4800dpiと決めた。

◆DIGITAL ICE 及び アンシャープマスク はOFF
 作業時間を省くためにも、傷等のやむをえない場合を除きDIGITAE ICEはOFF。また、スキャン後の編集を最大限生かすためにも、アンシャープマスクはOFFとした。

◆読み取りは48ビット

 48bit(R/G/B各16bit)での入力については、高品質の画像を効率よく作成出来るため、出版用途や画質調整を使い慣れたフォトレタッチソフトで行う場合などによく利用される。大幅なレタッチを行う場合は(往々にして)階調飛びが激しくなり粗い画像になるため、48bit でスキャンしておけば(24bitでスキャンした場合に比べ)レタッチ後の階調飛びを抑えることが出来るからである。
 EPSON Scanでは、自動露出調整だけを行い厳密な画質調整をせずに48bitでスキャンを行い、その後、使い慣れたフォトレタッチソフトでレタッチして、24bitに変換するよう(活用ガイドで)紹介されている。
 なお、ディスプレイ表示は24bitまでのカラーデータ(1,677 万色)しか対応していないため、48bitカラーでスキャンしても24bitカラーでスキャンしても、ディスプレイ上では違いがわからないので念のため。

◆TIFFファイルで保存
 TIFFファイルは、16ビットでしかもカラーマネジメント環境を保持したま保存出来るほか、PSDファイルに比べ圧縮機能があるため(最良の画像を維持しつつ)ファイルがコンパクトであること。しかも、PhotoShopCS3で作成したレイヤーもすべて利用可能であるだけでなく、Lightroomに読み込んだ場合、RAWファイルと同様にライブラリに読み込まれ、現像モジュールで調整可能となる。
 ちなみに(Lightroomでは)PSDファイルは、ライブラリにj読み込まれないため、RAW現像機能を利用しようとするならば、PhotoShopCS3かElementsからCameraRAWモジュールを使ってファイルを開かないと利用できない。つまり、LightroomではPSDファイルは使えないのである。
 
◆カラーマネジメント
 異なる機器同士でも、色空間の設定を合わせることだけでもほぼ問題なく色を再現することが可能。これとは別に、各機器特有の色情報を一旦共通の色空間に翻訳し、その後色情報を渡す機器の色空間に翻訳し直す過程を設けると、より柔軟な色管理を行うことができる。この機器固有の色空間を共通の色空間にするために使われる情報を記録した辞書のようなものがICC プロファイルである。
 GT-X970でICMを利用して、より高度なカラーマッチングを行いたい(例えば、Adobe RGB 出力をしたいなど)場合には、以下のように設定することになる。
・EPSON Scan の環境設定の[カラー]タブで、[ICM]を選択
.・ソース(スキャナ)を[EPSON 標準]に設定
 (原稿種にかかわらず、使用機種に対応したICC プロファイルが参照される)
.・ターゲット(出力用プロファイルの意味)は、AdobeRGB(印刷用に最大限広い色空間を利用するため)に設定
・モニタ補正を行ってプレビューを表示にチェックを入れる
 なお、「モニタ補正を行ってプレビューを表示」にチェックを入れるのは、モニタカラーマネジメントツールなどでモニタ用ICCプロファイルを作成・利用してい場合、読み込まれたデータがモニタに正しく受け渡されるようにするためである。


<いざ!スキャン・・・>
◆EPSON Scanの起動
 
EPSON Scanには、全自動モード、ホームモード、プロフェッショナルモードが搭載されているが、機能をフルに活用するためにもここは「プロフェッショナルモード」で起動したい。
・PhotoShopCS3を起動する
 (この場合、同梱のPhotoShop Elementsや他のTWAIN対応アプリケーションならば同様の方法で起動することとなる)
・メニューから 「ファイル」をクリックする
・ドロップダウンメニューが開くので、「読み込み」をクリックする
・さらにドロップダウンメニューが開くので、「EPSON GT-X970」をクリックする
・EPSON Scanのウィンドウが開くので、前述の設定条件に従い設定を行う

◆フィルム原稿の準備
 35mmストリップ(スリーブ)フィルムホルダ(一度に最大24枚のプレビュー&スキャンが可能)にポジフィルムをセット。指定された場所にホルダをセットして原稿カバーを閉じれば、スキャン準備の完了である。
 但し、フィルムを取扱うにあたっては、「指紋や汚れ、ホコリ」対策のため手袋を装着し、予めブロアーなどでホコリを払っておくなど、細心の注意を払いたい。
・35mmストリップフォルダ(以下フィルムフォルダと表記)に(最大4本の)ポジフィルムをセットする
・フィルムフォルダを、原稿台右上の矢印に合わせてセットする

◆プレビュースキャン
 フィルム原稿の準備が完了したら、あとはプレビューボタンを押すだけである。
 35mmポジフィルム4本をセットして、一度に24コマのプレビューが行えるのはフラットヘッドスキャナならでは。ちなみにプレビュースキャンに要した時間は約50秒であった。
 フィルムスキャナーの場合は、せいぜい6コマが限度であり、(当然のことながら)その度にフィルムを入れ替えるという手間が発生する。ホコリ対策を考えるならば、出来ればフィルムの取り扱う回数は減らしたいもの、そういう意味で一度に4本のフィルムをセットできるのは理にかなっている。
 プレビュースキャンが終了すると右図のような画面が現れる。この中から目的の画像にチェックをいれて本スキャンを行うわけである。
 なお、(本機の場合)一度に複数枚の本スキャンが可能となっているが、Webでの利用など、比較的解像度が低い場合やPC本体のメモリに余裕があればの話。多分に漏れず、今回の4800dpiではせいぜい1枚が限度であると付記しておきたい。
 ちなみに、EPSON Scanを終了してもプレビュー画面を閉じなければ(もちろんフィルム原稿を取り出さないことが条件であるが)改めてプレビュースキャンを行う必要が無いため、EPSON Scanを再度起動するだけで、本スキャンに移ることが出来る。

◆徹底したこだわり
 プレビュースキャンを行って感じたのであるが、(30枚ほどスキャンを行った結果として)「いわゆるピンボケスキャンが無いのである。実は本機には、
ホルダの浮きを押さえるパッドが装備されていて、ホルダポジションを均一に整えつつ、フィルムホルダのたわみを軽減させている。なお、同梱のスペーサを手動で切り換えることにより、原稿台ガラス面とフィルムとの距離の微調整も可能となる。
 ちなみに、一般的にフィルムをスキャンする場合、フィルムの反りがピントに大きく影響を及ぼし、仮に、フィルム全面にピントが合っていたとしても、フィルムが反った状態でスキャンすれば、ピントの合っていない画像がスキャンされることになる。
 フィルムスキャナーでは、任意の位置を指定してプレビュースキャンを行うことは出来るものの、カールしたフィルムへの対策は事実上無いに等しく、別なコマを選択せざるを得ないのが実情。
 人目につきにくいところにも「さりげない配慮」。こうしたところにも徹底したこだわりがうかがえる



◆ヒストグラム調整
 プレビューを終えたら、24枚の中からベスト画像を選び(コマ番号の左枠にチェックを入れる)、全体表示のタブを選ぶ。
 すると、右下図のように1枚の画像が現れるので、左下図の自動露出、ヒストグラム、濃度、イメージ、カラーパレットなどの調整アイコンを使って、プレビュー画面を見ながら調整していくことになる。なお、トリミングを行う場合は、表示されている画像の任意の位置でドラッグして範囲を選択すれば、選択された範囲が点線枠で表示され、大きさも自由に変更できる。
 今回は、ファイル保存したあとにLightroomの現像機能を利用するため、ヒストグラム調整は行っていない。
 

◆本スキャン

 各種調整を終えたら、スキャンボタンを押して本スキャンがスタートする。
 (必要に応じて作業を繰り返し) すべての作業を終え、EPSON Scanの操作パネルの窓を閉じれば、スキャン作業は終了する。


<スキャン画像の評価>
 今回は、事前設定のとおり「解像度は4800dpi」、「DIGITAL ICE及びアンシャープマスクはOFF」、「読み取りは48ビット」にて本スキャンを行った。
 本スキャンに要した時間は約4分50秒。これを早いと見るか、遅いと見るかはユーザーの考え方次第。同じ条件で比べるならば、スキャン画質も含めフィルムスキャナーに軍配が上がるのはいうまでも無い。
 今回のスキャンニングでは、過去のフィルムスキャナーでのスキャンニングデータ(1ファイルあたりおよそ50MB強)を基に、テストスキャン&印刷を行い(フィルムスキャナー原稿からの)印刷物との比較などを行い、読み込み解像度は4800dpiと決めた。そして、デジタル化した画像をLightroomで現像(自動諧調での読み込みと若干の調整)・印刷(A3)し、過去にフィルムスキャナーからデジタル化&印刷したプリントと目視比較してみた。
 同一原稿からのスキャン比較ではないものの、目視比較の限りでは遜色ない仕上がりが得られている。
 なお、次回のtipsでは、フィルムスキャナでの同一原稿のスキャンニング比較などを交え、フィルムスキャナとフラットヘッドスキャナの徹底検証を行ってみたい。

 ちなみに、デジタル化した画像は早速プリントし額装のうえ展示。かくしてショールームのオープンに花を添えることとなったのはいうまでもない。


<おわりに>
 フィルムスキャナのトラブルが招いた今回のtips。事の次第はともあれ、フラットヘッドスキャナも「遂に、ここまで来たか!」というのが率直な感想。
 気軽に、「フィルム原稿からデジタル化したい」という向きには、あえて最適だと申し添えておきたい。
 技術の進歩とはいえ、昔に比べ簡単に、安価で高画質なスキャンが可能となったのは紛れも無い事実。フィルムスキャナならまだしも、フラットヘッドスキャナでこれだけの結果を残せるのであるから「何をか云わんや」である。

 わが家の押入れには、(自然の荒廃や環境の変化などにより)今では目にすることが出来なくなった風景や自然の営みなど記録した約2000本のポジフィルムが眠っている。
 デジタル時代とはいえ、こうした銀塩フィルムはまさに宝の山。フィルムからのデジタル化は、その宝の山の扉を開いてくれる魔法の鍵のようなもの。
 今回のtipsが、(銀塩フィルムの)デジタル化を目指す諸兄の一助となれば幸いである。