tips98 デジタル一眼(フルサイズ考)


 α900の登場で、実売30万円前後のフルサイズ機がニコン、キヤノン、ソニーの3社から出揃うこととなった。
 往年のフィルム一眼レフユーザーにとっては、長年お蔵入りしていた銘玉の数々にも、ようやく光明が指すこととなり、デジタルカメラ業界も「にわかに活況を呈してきた」というところであろうか。
 しかし、デジタル一眼レフからスタートする諸兄にとっては、一通りカタログスペックを見ても、いまいち「ぴん!」と来ない。果たしてどれだけの恩恵があるのか、お分かりいただけないのが実情であろうであろう。
 そこでフルサイズ機が出揃ったこの機会に、改めてフルサイズ機の恩恵や使い道、APS-C機からのグレードアップをお考えの諸兄へのアドバイスも兼ねて推敲してみたい。


<そもそもフルサイズとは>
 35mmフィルム時代のフィルムサイズのこと。本来なら35mmフィルムに合わせてデジタル一眼レフカメラを開発をするところなれど、こういう大きさサイズのセンサーを作ることがデジタル一眼レフカメラが開発された当時には非常に難しく、APSフィルムというやや小さなフィルムのサイズを元にして作られたのが、α700などで利用されている「APS-C」サイズのセンサーである。
 最近のコンパクトデジカメを見ても、新製品が出るたびに高画素化が進む。なるほど画素数が増えれば画質は向上するものの、それにもおのずと限界がある。つまり、センサーの大きさが同じならば画素数が増えても、1ドット(700万画素であれば700万個の受光部)あたりの面積が小さくなるため、単純に高画質にはつながらない。そこでセンサー自体の面積を大きくすれば1ドットあたりの面積も増えるため、画質は格段に向上するのである。
 ちなみに36mm×24mmのフルサイズセンサーと24mm×16mmのAPS-Cサイズセンサーを比較してみると右図のようなサイズの違いになる。一見しただけで、フルサイズセンサーがどれだけ大きいかお分かりいただけるであろうし、これが高画質・高解像度の秘密でもある。


<フルサイズのメリットデメリット>
 最初にお断りしておくが、フルサイズのデジタル一眼レフを買ったからといって腕が上がるわけでもない。しかし、使い方を熟知さえすれば、素晴らしい大作を生み出すのに、最も良い環境が整っているのは紛れもない事実である。
【メリット】
・高画質・高解像度
 仮にAPS-Cとフルサイズの撮像素子が同じ画素数だと仮定した場合、センサー自体の面積が大きくなることで1ドットあたりの面積も増えるため、画質は格段に向上し、より高解像度・高画質、さらには階調描写に優れた画像が得られる
・ファインダーの見やすさ
 ファインダー内の表示の大きさは、センサーサイズとほぼ比例するため、APS-C機に比べて格段に大きなファインダー表示となる。構図やピントの確認の容易さもさることながら、マニュアルフォーカスでのピント合わせも容易になることから、意図した撮影により近づくことが可能となる
・交換レンズの実力をフルに発揮
 フルサイズ機ならばこそ、35mmフイルム一眼のために開発設計されたレンズの「実力」を十分に如何なく発揮させることができる。ちなみに、APS-C機だとその都度アタマを切り替えて、焦点距離を換算しなければならなかったものが、フルサイズ機だと本来の画角で撮影ができることで、違和感なく撮影にいそしむことが出来る
・ボケを生かした撮影
 センサーサイズが大きいほど、同じ画角(写る範囲)でのレンズの焦点距離が長くなり、被写界深度は浅くなる。つまり、画角と撮影距離、絞り値が同じなら、APS-C機よりもピントを合わせた部分以外の前後のボケ量が多くなり、背景をぼかした奥行きを感じる表現が容易となる
【デメリット】
・カメラがレンズを選ぶ
 フィルム一眼レフ世代の諸兄にはごくごく当たり前のことであろうが、レンズによっては、画面周辺部でのさまざまな収差が誇張されるため、画像の流れや周辺光量不足、色収差が目立つこともある。(絞りを絞り込むことでこうした収差の補正が可能となる)
 結果として、高性能のレンズとリーズナブルなレンズではおのずと映り方は違ってくる。つまり、レンズの性能がもろに出るということである。
 ちなみに、35mmフイルム一眼のために開発設計されたレンズの中には、そうしたレンズの収差を利用して作られた銘玉も数多い。
・レンズが高い
 カールツアイスなど一部のレンズを除き、デジタル専用のレンズは小型・軽量、しかもリーズナブルである。しかしながらフルサイズ機では、センサーサイズが大きくなる分レンズの周辺部分まで使用するためにコストは高くなってくる。また、レンズの性能がもろに出てしまう故に、フィルム一眼レフ時代のレンズを使い回す場合には注意したいものである。
 なお、純正レンズにこだわらなければタムロンやシグマなどのレンズメーカーから、リーズナブルな価格で多くのレンズが発売されているので、たくさんの選択肢の中からお気に入りのレンズをお選びいただきたい。
・手ブレがシビア
 フルサイズ機の場合、画素数が極めて高く、画像サイズが大きい故に、わずかなブレが決定的な失敗の原因となる。そのためには、手プレ補正機能の活用や三脚の積極的な使用が求められるところである。合言葉は「丁寧」に、そして「落ち着いて」である。
・ピンボケ
 ボケを生かした撮影の裏返しになるが、センサーサイズが大きいほど、同じ画角(写る範囲)でのレンズの焦点距離が長くなり、被写界深度が浅くなる。APS-C機に比べ、ピントを合わせた部分以外の前後のボケ量が多くなるため、ピント合わせのシビアさも同時に要求されるのである。AFの使いこなし方もさることながら、(特にマクロや風景撮影などでは三脚の使用と)MFに切り替えて、マニュアルでのピント合わせが必要となる。付け加えるならば、ピントをどこに合わせて撮るかで作品の意図が大きく変わるだけに、丁寧に、そして落ち着いて撮影したいものである。


<レンズから見たフルサイズ機>
【広角レンズ】
 最大の特徴は、遠近感が強調され広い範囲を一度に撮影出来ること。近くから遠くまでピントが合いやすく、見た目以上の遠近感が出せるなど、意欲的な作品づくりが出来る半面、撮影には少々工夫が必要となる。
 そのためは、撮ろうとするものに可能な限り近づいて撮ること。早い話が「主役はより大きく、背景はより小さく」である。
 また、少しの移動
(カメラの)でも映像が大きく変化するため、フットワークよくベストポジションを選ぶのも重要な要素といえる。
 ここで注意したいのがパンフォーカス描写(近くから遠くまでピントを合わせた撮影)。
 APS-C機と違い、フルサイズ機のようにセンサーサイズが大きいほど、同じ画角
(写る範囲)でのレンズの焦点距離が長くなり、被写界深度は浅くなる。つまり、画角と撮影距離、絞り値が同じなら、APS-C機よりもピントを合わせた部分以外の前後のボケ量が多くなるため、より絞り込まないとパンフォーカス描写が得られないケースもある。
 また、広角レンズになるほど
(レンズによっては)周辺での光量不足が顕著となり、レンズを選ぶフルサイズ機ならなおさらのこと、絞りのコントロールが重要な鍵となってくるのである。
 「ならば、絞り値をF16やF22まで絞り込めばいいではないか?」と言われるかも知れないが、ここに大きな落とし穴が隠されているのである。
 それは、「絞り込むと顕著になる回析現象」の存在である。(詳しくは後述)
【望遠レンズ】
 フルサイズ機で望遠レンズを使う場合、注意したいことはボケと焦点距離。APS-C機よりもぼけが大きく感じられることや、望遠側が不足する点である。特に、APS-C機からのステップアップユーザーにとっては、この点が感覚的に異なるので、頭を切り替える必要がある。
 フルサイズ機で望遠レンズを使用する場合、APS-C機に比べ
(同じ立ち位置から同じ大きさに撮影する場合)今まで以上にぼけて映るため、被写界深度が(開放絞りなど)絞りによっては極端に浅くのなるので要注意。その場合には、プレビューボタンなどでボケ具合を把担しながら、適切な絞りを選択していくことになる。
 逆にボケ味を演出したい向きには好都合となろうが、ポートレート撮影などでは、「モデルの目にピントを合わせたが鼻にはピントがきていない」「右目にピントを合わしたが、左目には合わない」「どちらにピントを合わしたほうがいいのか分からない」など、絞り値によってボケの量は大きく異なるので注意しておきたいところである。
 次は焦点距離。APS-C機では
(望遠側に約1.5倍)焦点距離も長くなるため気軽に圧縮効果が楽しめる。例えば、一般的によく使われる望遠ズーム70-200mmならば105-300mmにシフトし、テレ側は一挙に300mmとなる。ところがフルサイズ機では、70-200mmがそのままの焦点距離でしか使えない(至極当たり前なのだが)、見方を変えれば、望遠側が不足したように感じられることになる。
 最近のトレンドとしては、70-300mmや70-400mmなどテレ側に広がったズームレンズが数多く発売されており、必要に応じて求めることになろう。但し、70-200mmなどの大口径・開放値F2.8通しではなく、開放値もF4-5.6、或いはF4.5-5.6と暗くなることや、価格もおのずと高額にならざるを得ないのである。そこでお奨めするのがテレコンバータを使う方法である。
 つまり、マスターレンズ
(元のレンズ)の焦点距離を、手軽に1.4倍や2倍に伸ばすための(魔法の?)レンズである。
 例えば、1.4倍のテレコンバータを装着すると、200mmが280mm
(絞りは1絞り分暗くなる)に、2.0倍のテレコンバータを装着すると、200mmが300mm(絞りは2絞り分暗くなる)となるが、反面、テレコンバーター自体レンズであるため余分な光学系が増えることになり、マスターレンズ以上の画質は期待できない。出来れば大口径で明るい(優秀)なマスターレンズと組み合わせて使うことが望ましいものの、新たに300mm程度をカバーするレンズを購入するよりはずっと手軽(実売で40千円〜60千円程度)で有利、フルサイズならではのメリットかもしれない。
 ちなみにAPS-C機で、カメラメーカー純正テレコンバーター
(2倍)で何度も撮影(マスターレンズ:AF300mmF2.8G、AF400mmF4.5G、AF70-200mmF2.8G)を試みたが、はっきり言って使い物にならなかったことを付記しておく。
【大口径レンズ】
 フルサイズ用の交換レンズには、開放F値の明るいレンズが多い。APS-C用レンズと違って、特に単焦点レンズで広角から中望遠まで、開放F値がF2.8や、F2以上の明るさを持つ大口径レンズが数多くラインナップされているため、フルサイズ機の特性を生かして撮影を楽しむためにも、大口径レンズでしか得られない大きなボケ味を生かし、独特の画作りにも積極的にチャレンジしていただきたいものである。
 望遠レンズの項でも触れたが、大口径レンズを開放値
(F2.8など)で撮影する場合、最も注意したいのが「ピント」である。正確にピントを合わせることは言うまでもないが、「どこ」にピントを合わせるかで「作品の良し悪しが決まる」といっても過言ではない。
 明るいF値のピント
(被写界深度)は想像以上に浅く、ごくわずかにピント位置がズレただけで失敗作になったり、ピントを合わせるポイントが少し前後しただけで表現意図が大きく違ってくる。
 そのためには、フレーミングした画面で最も“強調”したいところ、自分が一番“感動”した部分にピントを合わせることが最も重要。撮影前に仕上がりを予めイメージしておくなど、日頃からのイメージトレーニングも重要な要素。狙ったところに正確にピントを合わせるためには、
(大口径の利点である正確な)AFだけではなく、時にはマニュアルフォーカスを使用するなど、ピンポイントで狙うことも必要になってこよう。


<絞り込むと顕著になる回析現象>
 昔から、絞りは開放ではなく絞った方がシャープになると言われてきた。
 そのこころは、「絞りが開放の時は、レンズの諸収差が目立ち解像度が落ちることが多いため、数段絞ることで、この諸収差が目立たなくして解像度を上げる」ための涙ぐましいテクニックである。ところが逆に、絞り込みすぎると、解像力は低下しシャープネスは低下しまう。これが、レンズの回折現象
(電波や音波などの波が障害物の後ろに回り込む現象。レンズを絞って光の通過する穴を小さくすると、この現象は顕著に現れる)である(汗)。
 フィルム時代でも回折現象は発生していたものの、取り立てて語られることは少なかったが、デジタル一眼レフでは、デジタル故にそれが顕著に現れるようになった。しかも、回折現象はイメージセンサーが小さいほど目立ちやすいとくれば、由々しき事態である。
 では、どうすればいいのか?

 巷では、回析現象にまつわる様々なテストや分析がなされており、これらを総合的に見ても、広角レンズでは概ねF8程度、それ以外のレンズでもF11程度に留めておきたい。
 ちなみに筆者場合、広角レンズで撮影する場合にはF8を基本に撮影している。
(偏向フィルタの常用、カメラブレ、回析現象などを勘案して)
 少々脱線するが・・・、昔から花火撮影のセオリーとして、「ピントは∞、絞りはF5.6かF8」でと教えられてきた。これもまさに回析現象回避への教えであろう。

 なお、次の画像は、絞り別の解像度サンプルであるが、回析現象はレンズによっても多寡があるため、あくまでも参考程度にご覧いただきたい。

 ※絞り開放では甘く、絞りを約2〜3段ほど絞り込んだところが最もシャープに見える。さらに絞り込むにつれ、徐々に回析現象が現れ、最大絞りから2段ほどはボケの傾向が顕著
F2.8 F4 F5.6 F8 F11 F16 F22


<フルサイズ故の三脚選び>
 フルサイズ機はAPS-Cタイプのデジタル一眼レフに比べれば、軒並みボディサイズが大きく重い。また、フルサイズ用レンズはAPS-C専用レンズよりもワンサイズ大きくなるのが普通である。つまり、フルサイズ機を使う場合、機材がAPS-C機のそれに比べて、総じてヘビーになると考えればよい。
 まずは、装着するレンズも含めたカメラの重さ
(フルサイズ機になると、レンズも含めた総重量は1キログラム以上)を考慮して選ぶ必要がある。「そこで迷わず重量三脚を・・・」といきたいところであるが、最近のトレンドはカーボン。
 そこで、目安として考えたいのがパイプ径。太ければ、たとえカーボンなどの軽い素材を使っていても極めて安定度が高く、脚を適正に伸ばし開いたときも、よじれたりぐらつくことは最小限度にとどまる。他方、細いものは、たとえ強度の高い金属を使っていても、脚を伸ばせばどうしてもたわんだりするため、大口径レンズをつけた高画素・フルサイズ機をぶらさず撮影するにはいささか力不足となる。
 頑丈さをはかる目安として「重さ」も1つのアドバンテージ。重ければ確かにブレは少なくなろうが、撮影現場が車横付けならまだしも、持ち運びを考えれば逆にハンディキャップとなる。
 同様に、エレベーターの頑丈さも考慮に入れたい要素。中型以上の三脚にはギア式のものが用いられており、微調整のしやすさ強度ともに高い。購入の際には、必ずエレベーターも伸ばしたり縮めたりして、使いやすさや強度をチェックしておきたい。
 次に重要となるのが高さである。脚部を最大に伸ばしたときの高さが、ややかがむ程度くらいの高さはほしい。雲台に乗せカメラを装着すれば、姿勢を真っ直ぐに伸ばして楽々撮影できるからである。いくら頑丈な三脚であっても、エレベーターを伸ばせばどうしても安定度は落ちる。せっかくパイプ径が太い三脚を選んでも、高さが足りなければ本末転倒となるのである。
 余談であるが、
(いちいち伸ばすのが面倒だということで)中心のエレベーター部分を伸ばして撮影している姿をよく目にする。これは、不安定極まりなくカメラぶれを誘引(助長)しているようなもの。(何のための三脚使用なのか訊ねてみたいものである)
 つまり、中心のエレベーター部分は、高さの微調整などに使用するもので、できるだけ三脚の足を伸ばして安定した状態で使用することが大前提。
 突然にやって来るシャッターチャンスへの対応など、リスク覚悟の撮影の気持ちも分からないでもないが、急場の撮影を除き、
(ここは)はやる気持ちを抑えてセッティングのうえ撮影にいそしみたいものである。


<理想のメディア>
 毎年各社から次々と新製品が登場し、画素数が増え続けていくのに連動して、ファイル容量も巨大化しているのが実情。
 特に、キヤノン、ソニーのフルサイズ機は2000万画素オーバーの撮像素子を採用し、超高解像度故にファイル容量は大きく、性能の高い大容量メディアは必須となる。他方、ニコンについては、D3、D700ともに1200万画素機とは言え、データ容量自体はそれなりに大きいので、楽観視は出来ない。
 メディア選びのポイントとして、UDMAへの対応、非対応である。UDMA
(UltraDirectMemoryAccessの略)は、CFカードの性能を飛躍的に引き上げる高速転送の規格であり、恩恵を受けるためには、カメラ側、メディア側の双方がUDMAに対応していなければならない。幸いにも、現行のフルサイズ機はいずれもUDMA対応のメディアスロットを搭載しているため、あとはCFカードの性能を考えれることになる。
 現状、UDMA対応メディアはやや高価ではあるが、フルサイズ機、特に高画素機のユーザならば購入する価値は十分にあるといえる。そこで、注目すべきは「連写可能枚数」である。枚数が少なければ書き込みが間に合わず、早い段階でカメラのバッファがいっぱいになってしまい、メモリが開放されるまで撮影することすら出来ないのである。
 しかし、連写することが少なければあえて最高速のメディアにこだわる必要もなく、撮影場面だけを見ればなんら支障はない。勿論、最速に越したことはないが、あとはカメラマンの考え方と懐次第であろう。
 ところが、いざPCへのデータ転送となると、これが大きなアドバンテージとなって立ちはだかるのである。
 PCへのデータ転送についてはメディア性能とともに、カードリーダーの性能が影響してくる。特にUDMA対応メディアの場合は、UDMA対応のカードリーダーを用いた際に大幅な転送スピードの向上が見込まれる。実際、300倍速と133倍速ではかなりの速度差があるのも事実。そこでメディア選びの際には、撮影スタイル、撮影枚数、PCへの転送作業などを意識して選びたいものである。
 ちなみに筆者は、UDMA対応の300倍速、16GB
(133倍速、16GB)のCFカードを複数枚使用しているが、撮影現場ではなんら支障がない133倍速のCFカードでも、いざPCへの取り込みとなるとその遅さには閉口してしまう。少量枚数ならまだしも、目一杯撮影することを考えれば迷わず300倍速。なお、α900のRAW(圧縮なし:約38MB)撮影では、CF1枚あたり423枚の撮影が可能となる。


<パソコン選び>

 撮像素子のフルサイズ化によって画像データのサイズは飛躍的に増大し、2460万画素というa900のRAWデータは40MB近くにも及ぶなど、膨大な情報を扱うためには、使用するPCの能力が鍵になり、フルサイズ機のデータがメインになるならば、パソコンにもコストを割いておく必要があろう。
 最も鍵を握るのがCPUの動作クロック。そして処理命令をこなすコアの数もあなどれない。特にPhotoshopCS4やLightroom2.などはマルチコアへの最適化が進んでおり、コア数の違いがモロに処理速度に表れる。ちなみに筆者は、フルサイズでのRAW現像を見据えてデスクトップPCにはCore2Quad2.6GHz、ノートPCにはCore2Duo2.6GHzを使用している。
 また、コア数だけでなく、CPUの世代の違いも大きく影響しているようで、Core2Quadに比べ、Pentium4(3GHz)は足元にすら及ばなかった。ちなみに、Core2世代にもデュアルコアのCore2Duoという製品が存在するので、予算が少ない筋にはこちらを選ぶのもひとつの方法。
(予算が許せばクアツドコアはお勧め)
 次に、Core2Quad環境でもメモリ容量も大きなアドバンテージ。OSがVistaならば、迷わず最大容量の3GBまで、XPでも2GBには増設しておきたい。
 仕上げはデータを保存しておくハードディスクである。APS-C機の時には500GBでもさほど気にならなかったものの、フルサイズ機に替えてからはファイル容量が大きいために、空き容量はどんどん減っていく。そこで止む無く、転送速度と安全性を考慮して外付けのeSATA接続2TB(テラバイト:ギガバイトの1000倍)ドライブを増設したところである。しかも、RAID1(ミラーリング)のため、ハードディスクは合計4TB(1TBドライブを4台)にもなる。
 ハードディスの容量は、大きければ大きいに越したことはないが、あとは懐具合との相談。場合によってはリムーバブル
(取替え交換可能)ハードディスクなどで、年度ごとに取り替えていく方法もあろう。実際に一部のプロは、このような方法でデータを保存していると聞く。
 いずれにしても、ご自身の判断に委ねられるのであるが・・・。
【RAID1とは・・・】
 同一のデータを複数のディスクに書き込み、一方のディスクが故障しても、もう一方のディスクを使って処理が続行できるよう、耐障害性に優れたデータの記録方式。つまりRAID1では、同じデータを格納したディスクの「コピー」を用意することで故障に備えるというもの
(従って、ディスクドライブは2台必要となる)


<おわりに>
 いろんな意味で大きな違いがあるAPS-C機とフルサイズ機。高画質・高解像度を求めるが故に、少々物入りとなるのは否めない。
 しかし、それを割り引いても魅力十分のフルサイズ機。ご自身のライフワークを考えつつ、じっくりとお選びいただきたいものである。

 フィルム一眼レフカメラを含めて約20年、実にたくさんのカメラを手にしてきた。しかし、これほど感動という言葉がふさわしいカメラに出会ったのは初めてである。
 これほど待ち焦がれたフルサイズ機であるだけに、「初心に戻って丁寧に、撮影に勤しまなければ・・・」と、思う今日この頃である。

 独断と偏見ながらも、フルサイズ機の魅力やAPS-C機からのグレードアップをお考えの諸兄へのよきアドバイスとなれば幸いである。